9.11から売上10倍!セキュリティーゲート専門メーカー
生産ラインからスキー場、そしてセキュリティーゲートへ
岡本源生社長が会社を設立したのが1979年。
工場の生産ラインに組み込む電子計測器の設計開発からスタートし、1992年にスキー場のリフト乗り場の自動改札システムを開発。
ICカードをかざすだけで開閉する仕組みをいち早く取り入れ、全国のスキー場に展開しますが、90年代をピークにスキー人気は低迷、スキー場関連の設備投資も激減します。
2000年ごろからセキュリティーゲートの開発を本格化した日本ハルコンは「9.11の米同時多発テロが転機」(取締役副社長岡本恒生さん)で、外資系企業が入居するビルを中心に安全対策を強化する動きが急増、以来売り上げの6割超を占める主力商品へと成長しました。
2018年の売上はおよそ8億6千万円。
ゲート開発の2000年ころと比較すると10倍近くになっています。
5年で急増「ETCゲート」
スキー場ゲートの技術を活かしたもう一つの主力はETC用ゲート。
2013年ころから販売を開始し、上信越道や北関東道などの設備更新も重なり、高速道路各社に採用されました。
スキー場で培った耐久性も導入実績に直結し、ETC専用のスマートインター普及と重なり、わずか5年ほどで売り上げの3割を占めるまでになりました。
安全性はもちろんデザインも重視
設計開発型企業は「見た目」も大事
日本ハルコンのものづくりの特徴は「ファブレス方式」と呼ばれる、設計開発・営業中心のスタイル。
部品製造や組み立てなどは佐久地域の協力工場に委託し、自社内では製品開発やデザイン、最終チェック、営業などに注力しています。
社員数はおよそ40人。
売上の約2割を研究開発費に充てています。
「どんなエントランスの空間でもですね、景観を損なわない空間を演出するようなセキュリティーゲートとして設計されております。」と、技術営業本部営業部本社営業課小林修一さん。
日本ハルコンがこだわるのは、デザイン性。
「会社の『顔』ともいえる、ビルの入り口に置くものだから」と、ガラスを多用しデザインを重視、「オフィスビルにもマッチする自信作」と岡本副社長がいう「クリスタルゲートシリーズ」は、長野県が認定する「NAGANOものづくりエクセレンス」に2017年認定されたほか、過去にはグッドデザイン賞も受賞しています。
次は「農業」だ!
「2020年に向けて、首都圏は建設ラッシュ、セキュリティーゲートの需要も拡大しています。
ただ、その先を見据えて新しい商品開発にもチカラを入れていかなくてはいけません」と、岡本副社長。
キーワードは「省力化」です。
「具体的には、一次産業、つまり『農業』の人手不足です。
収穫の後作業など、まだまだ人手がかかっている部分がたくさんある。」生産ラインの設計開発からスタートし、リフトの自動改札、セキュリティーゲート、ETCゲートなどへ発展させてきた岡本副社長。
「ゲートで培った技術を活かし、お客様の『困っている』を解決できる商品をつくりたい」と、農業の本場・北海道に新たに開発センターを立ち上げました。
工場からスキー場、そしてオフィスビルから農業へ。日本ハルコンは新たな分野で、新たな市場を開拓します。
【取材日:2018年9月25日】