[サイプラススペシャル]509 小水力発電を研究 普及目指す エネルギーの地域循環

長野県長野市

信州大学工学部

信州大学工学部の研究をシリーズで3回に分けて紹介します。1回目は機械システム工学科の飯尾昭一郎・准教授の研究室です。ここでは、「創エネルギー」「省エネルギー」をテーマに小水力発電の普及を目指した研究に取り組んでいます。

取材後記

環境にやさしい小水力発電

山間部の川や用水路などを利用して発電する小水力発電。小水力発電はCO₂排出量が少ないため、地球温暖化防止の面からも注目されています。飯尾研究室では15年ほど前から発電装置に使用する水車や発電機などの研究を続けています。学生たちはシミュレーションや実験などを行って性能を解析し、水車の設計などに生かしています。天候に左右されにくいため、水車が回っている限りは発電できるという小水力発電。製造コストを意識し「形が単純でありながら、高性能を目指している」と飯尾准教授は話します。

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産学官連携し実証実験

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須坂市の米子川で始まった小水力発電。民間の5企業が出資して発電事業会社を設立し、2018年に発電設備が稼働しました。長野県の砂防ダムの脇から取水していて、飯尾研究室は水車の設計に協力しました。研究室では実証実験から得られたデータを生かし、効率の良い発電につなげていく計画です。

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水力エネルギー 地域での循環で課題克服

小水量発電は利益が出にくいことが課題とされます。飯尾研究室では、地元の企業が取り組むことが低コスト化につながるとして、須坂市での実証実験のように水車のノウハウの提供など事業に協力しています。飯尾准教授によりますと、長野県の水力ポテンシャルは全国で3位に位置付けられていて、小水力発電の可能性を「設備の製作や維持管理も含め、地域で循環させることで普及拡大できるのでは」と語ります。

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【取材日:2018年11月19日】

企業データ

信州大学工学部機械システム工学科 飯尾研究室
〒380-8553 長野県若里4-17-1 TEL:026-269-5130
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