![[サイプラススペシャル]118 「大量に」「早く」を実現した組立ライン 世界でも有数の生産量を誇る腕時計用ムーブメント](/archive/special/img/citizen-top.jpg)
長野県御代田町
シチズン時計ミヨタ
20年のノウハウが詰まった生産体制
全世界に供給される「MIYOTAブランド」
腕時計に組み込まれる動力「ムーブメント」。正確に時を刻む、時計にとっての心臓部だ。
シチズン時計ミヨタのスゴさは、精密機械であるムーブメントを「早く」「大量に」つくること。
時計づくり半世紀。20年以上かけて確立した世界最多の生産体制。
CITIZEN、Q&Q;といった自社ブランドの腕時計はもちろん、シチズン時計ミヨタのつくる「MIYOTAブランド」のムーブメントは、全世界に広く供給され、世界中で今も正確な時を刻んでいる。
「世界でも有数の生産量を誇る腕時計用ムーブメント。それを生産しているのは、私たちシチズン時計ミヨタです。」
自動化ラインの責任者、自動組立課田原敏之課長は、組みあがったばかりのムーブメントを手に、誇らしげに説明する。
腕時計の短針・長針・秒針を規則正しく動かしているのが、時計内部に収められたムーブメントという精密機械。つまり、時計の心臓部だ。500円硬貨ほどのサイズの小さな装置中に電池や水晶、バネといった微細な部品が組み込まれている。
「複雑で小さい形状の部品を大量に早く作ることができるのが、我々のすごいところだと思います。」シチズン時計ミヨタ荻原秀雄社長は、自社の強みを「大量に」「早く」つくることだという。
説明を続ける荻原社長の後ろにはショーケースが並び、中にはCITIZENの腕時計がきらびやかに輝く。デパートなどでよく見かける光景だ。
しかし、華やかな腕時計の内部で、人目に触れることなく針を動かし続けているのが「メイドイン・ナガノ」であることはあまり知られていない。「長野県の御代田町でつくられたムーブメントが世界中で使われているって話すと、みなさん驚きます。」と、荻原社長は笑った。
CAL2035(キャリバー2035)というムーブメントはご存じか?
数多あるムーブメントの中で、「世界で最も多く生産される」デファクトスタンダード(事実上の標準)といわれる腕時計用ムーブメントだ。
シチズン時計ミヨタの主力商品は、この世界標準ムーブメントのCAL2035。自社ブランドに組み込まれるものだけでなく、ムーブメント単品でも出荷されている。
御代田町の工場でつくられたムーブメントは「MIYOTAブランド」と呼ばれる。裏側をよく見ると、アルファベットで「MIYOTA」の文字が刻印されている。
「私たちは『つくる専門の会社』。商品を売るのは別の会社なので、アピールできないのが残念です。」「つくる専門」、自分たちのものづくりに誇りをもっているからこその荻原社長の言葉だ。
しなの鉄道御代田駅からクルマで5分。かつての信越本線沿いにある本社工場では、まさに「秒単位」でムーブメントが組みあがっていく。
「国内トップの家電メーカーやクルマメーカーの技術者が、わが社の生産ラインを見て驚くんです」と、荻原社長。世界有数のムーブメント生産ラインこそ、シチズン時計ミヨタが世界に誇るスゴイものづくりだ。
「時計の部品はものすごく小さく、複雑です。それを『大量に』『早く』自動で組み立てることができる。」部品の細かさと生産のスピードに、他のものづくり業界の技術者からも「参考にしたい」と、問い合わせがあるという。
なぜシチズン時計ミヨタは、「大量に」「早く」を実現できたのか?その理由を、荻原社長は「20年以上改良に改良を重ねてきた結果」だという。
自動化ラインと聞けば、最新鋭の機械を想像するかも知れない。しかし、腕時計の生産ラインは、ひとつひとつの工程に現場の技術者たちの技が活かされたノウハウの蓄積だ。
300坪ほどの工場の一室に、約20mの生産ラインが何本も並ぶ。30以上の部品からつくられるムーブメント。「ラインを往復する間に、130~140の工程を経て完成します。」組立の責任者・田原課長は「部品を運ぶ動きひとつとっても、いかに『早く』できるか追求してきた」という。
「コンマ数秒早くすることに、心血を注いできた」という田原課長。
たとえば、ひとつの部品を運ぶ機械の動き。もともとピストンのような直線的な動きだったものを、アーム式の弧を描く動きに変えた。記録を追求するアスリートたちが、ランニングフォームを微細に改造するのかのような探究心だ。
生産ラインそのものは20年前のものだが「スピードは3倍」、さらに「かつて8人必要だった」オペレーターの人数も今では2~3人で対応する。メンテナンスの省力化によって、24時間ノンストップで生産が可能になった。
シチズン時計ミヨタの前身、御代田精密の創業は1959年。半世以上にわたり腕時計づくりを続けてきた。
昨年(2010年)4月にはシチズンファインテックミヨタから分社し、より時計づくりに特化した企業として新たなスタートを切ったばかりだ。
「つくっても、つくっても間に合わない状況です。」
新スタートから1年。荻原社長が「間に合わない」と表現するように、今、腕時計の市場は拡大しているという。「時間を知るだけでなく、ファッションやステータスシンボルとして、中国などを中心に腕時計のニーズは増している。」
世界的な「より大量に」「より早く」のニーズにこたえるためグループとして、御代田町の他、新潟県妙高、中国広州と国内外3拠点2200人体制で生産を行っている。
妙高では大量生産できないこだわり商品など、中国ではコストパフォーマンスを追求。「半世紀以上のノウハウをグループ全体で生産技術を共有しながら、それぞれの分野にあわせたこだわりの時計づくりを続ける」と、荻原社長。
「シチズン時計を世界一の会社にするのが私たちの夢です。」
シチズン(Citizen) は、英語で「市民」。シチズンの名は「市民に親しまれるように」の意味で後藤新平が名づけたといわれる。「世界一ということは、より多くの市民のみなさんに親しんで、愛されるブランドになること」と荻原社長。だからこそ、「もうひとつの夢は、従業員が満足できる企業になること」だという。
「地域から、地元からもいい会社と思われる企業にするため、まずは社員全員が満足できることが大切。」ものづくりに特化した企業だからこそ、現場でものづくりを支える「社員の満足を一番に目指しています。」
社員ひとりひとりがモチベーションを高め、自らの仕事に誇りをもてることこそ、世界中で正確な時を刻むメイドイン・ナガノのムーブメントの原動力となっている。
シチズン時計ミヨタ株式会社(現:シチズンファインデバイス株式会社)
((御代田事業所)長野県北佐久郡御代田町御代田4107-5 TEL:0267-32-3232
https://cfd.citizen.co.jp/