諏訪市
ヤマト
「ヤシの実ジュース」の発想でグレープフルーツをそのまま器に
フレッシュ果汁を美味しく楽しめる新発想の果汁搾り機【カジュッタ】
「ワクワクするような果汁絞り機をつくりたい」。
今回ご紹介するのは、そんな「遊び心」から生まれた新発想のジューサーだ。信州諏訪のものづくり企業が中心となって開発した電動グレープフルーツ絞り機、その名も「カジュッタ」。
外の皮はそのままに中の果肉だけをジュースにするその斬新な発想は、商社や飲食店からも注目を集める。
グレープフルーツの中心に穴を開けて機械の刃を差し込む。右手に持った果実を傾けながら、左手に握った機械のグリップを下に押し込むと、グリグリと果肉が削られる。穴にストローをさし込み、そのままフレッシュなジュースが楽しめる新発想の果汁絞り機「カジュッタ」だ。
「おいしい!」出来たてを試飲すると、そのフレッシュさに驚いた。適度に粒々の果肉が残っていて、生の味そのまま。さわやかな甘みと酸味で、市販ジュースとはまったく別物だ。完成までの工程は1分ほど。つくり方もカンタンで慣れれば誰でもできる。「皮のまわりを削りすぎると苦みが出てしまいますのでご注意を。」実際に体験させていただいたが、すぐにコツをつかめた。
「果実の形状をそのまま生かした飲み方というかスタイル、これが一番の特長」と、企画販売を手掛ける株式会社カジュッタ武居章彦さん。グレープフルーツにそのままストローをさして飲むスタイルはインパクトが大きいだけでなく、味も自信あり、だ。「果肉が空気に触れる面積が極力抑えられるので、本当にフレッシュで甘さが際立ったジュースが絞れます。」飲食店からの問い合わせが多い、というのもうなずける。
高さ50cmほど、重さは約10kg。カジュッタはかき氷削り器のような外見だ。違いは、スイッチを入れ本体のレバーを押し下げると出てくる細長い金属の回転ヘッド。チタン合金の3枚の刃が楕円状に広がり、果肉を砕いて果汁にする仕組みだ。
「きっかけは居酒屋の酎ハイ。半分に切ったグレープフルーツを苦労して絞る様子をみて、ひらめいた。」諏訪市のものづくり企業、株式会社ヤマト代表取締役CEO渡辺高志さんが語る開発のきっかけは、居酒屋だった。
しかし、渡辺さんが社長をつとめる株式会社ヤマトは、ジューサーをつくるような家電メーカーではない。本業は、金属やプラスチック部品製造。金属部品の切削、研削加工やチタン・タングステンなど難削材の精密加工、プラスチックの成形加工などを手掛けるものづくり企業だ。
「ヤマト1社ではとてもできなかった。諏訪地域のみなさんの関係があってこそこの商品が生まれた」と、渡辺社長。仕事仲間や諏訪商工会議所、地元大学のロボット工学の教授らを巻き込んで開発チームを結成。商工会議所「地域資源∞(むげんだい)全国展開プロジェクト」に採用され、補助金600万円が開発資金となった。
「南国のヤシの実ジュースのようにストローをそのままさして飲める、わくわくするような果汁絞り機を造りたいと思った。」開発期間は3年ほど。毎月数回会合を開いて、改良を繰り返すことで斬新なアイデアが、実際の商品へと具現化していった。
ちなみにこの名前、「果汁を絞った」で「カジュッタ」。1台35万円ほどで、カフェやバーなど飲食店、移動販売事業者、グレープフルーツを輸入販売する商社などへ販路を拡大する予定だ。
「夢は世界。カジュッタを世界に向け発信していきたい。」渡辺社長は「楽しいジュースづくりを広げていきたい」と、夢を語る。
株式会社ヤマト
長野県諏訪市湖岸通り1-19-7 TEL:0266-58-1112
http://www.yamato.cc/