[サイプラススペシャル]257 3Dプリンターで切り拓くものづくりの未来 若手スタッフが集う設計開発企業

長野県伊那市

スワニー

現在ものづくりの現場で導入が進んでいる3Dプリンター。この最新機種をいち早く採用して設計・開発を行っているのが、伊那市にあるスワニーだ。3年前に戻って家業を受け継いだ現社長が地元の若手スタッフを数多く採用し、設計開発に特化する大幅な方針転換で存在感を放っている。

取材後記

祖父の代から続く会社を受け継ぐ

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スワニーは1970年、創業者が「地域に製造業を根付かせたい」という想いから立ち上げた企業だ。最盛期は約80名の社員を擁してオーディオ用のマイクロモーターを製造していたが、海外シフトによって徐々に生産は減少。その変遷を幼少期から見続けていたのが、創業者の孫である現社長の橋爪良博さん。「祖父が立ち上げた会社を絶やしたくない」という強い信念を持って、2010年に実家に戻って社長に就任した。


3Dプリンターをいち早く導入

学校を出てから様々なものづくり企業で経験を積んだ橋爪社長は、伊那地域には製造業が多いが設計開発業が少ないことに着目。両親がやっていた塗装業を止めて、設計開発をメインとする企業に変換することを決断した。この際いち早く取り入れたのが、3Dプリンター。15年ほど前から開発されていたが、当時は大型で高価なものだったため大手企業しか導入できなかった。まだ一般的に普及していなかったこの装置の導入と共に、地元の長野県内の若者を社員として採用するところから新たなスタートを切った。

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「形にすることで話が進む」

3Dプリンターは、設計したものが「図」ではなく「形」になることが最大のメリットだ。橋爪社長も「早く形にして、手に取ってみてもらうことで、様々な意見や課題が出てくる。設計したものがコミュニケーションツールになる。」と、その優位性を感じている。また経験の少ない若手スタッフが、失敗と経験を繰り返すことで改善を進めていくうえでも、有効な「教育ツール」にもなっているという。

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小型化・コストダウンで普及が進む3Dプリンター

この小型機械も、なんと3Dプリンター。スワニーと取引のある国内企業が開発したもので、サイズもコストも従来使用されている海外製のものから大幅にダウンした。成型スピードも速くなっていて、このタコの形をプリントする時間も約30分。自社で導入して活用するとともに、販売代理店として普及にも力を入れる。

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若手社員がアイデアを迅速に形に

目指すところは、「日本で一番頼ってもらえる設計会社になること」という橋爪社長。また受注先から依頼された内容をそのままやるのではなく、1つでも2つでも「サプライズ」となる付加価値を付けることを常に目指している。3Dプリンターの活用によってアイデアを形にすることで、小規模な地域の町工場でありながら開発設計に悩むものづくり企業の「駆け込み寺」として頼られる存在となることが目標だ。

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【取材日:2013年12月11日】

企業データ

有限会社スワニー
長野県伊那市富県7361 TEL:0265-73-6033
http://www.swany-ina.com