[サイプラススペシャル]281 川魚の養殖・加工・販売までを一貫して手掛ける 信州サーモンのてまり寿しを新たに製造販売

長野県安曇野市

辰巳

北アルプスの麓に位置する安曇野は、昔からこの水源を生かした川魚の養殖が盛んな地域。この地で半世紀以上に渡って川魚を育てているのが、㈱辰巳。養殖だけではなく、加工してブランド商品として販売するまでを全て自社でおこなっている「6次産業」企業だ。近年では長野県のブランド魚・信州サーモンに力を入れていて、新商品のてまり寿しを市場に送り出した。

取材後記

産卵から養殖・加工までを一貫して

辰巳は昭和34年の設立以来、自然豊かな安曇野で川魚を扱ってきた。ニジマス・イワナ・ヤマメなどを、産卵から成魚に至るまで養殖。更に加工して販売するまでを一貫して自社でおこなっている。社長の高原正雄さんは、今では当たり前となった「地産地消」の取り組みを長野県内でいち早く始めた方でもある。長年に渡って良質の川魚を育て、鮮度を損なわずに素早く加工することに力を注いできた。


主力製品はニジマスの「円揚げ」

辰巳の加工食品の中で、最もポピュラーなのがこの「円揚げ」。新鮮なニジマスを、水揚げ後すぐに開いてフライにして独自のたれで味付けした辰巳の定番商品だ。ニジマスの筋肉が生きているうちに急速に加熱することで、出来上がりが丸くなることからこの名前が付いた。地元ではお土産や給食などで、幅広い層に愛されている。

「信州サーモン」を第二の柱に

ここ数年力を入れているのが、地元長野県の新しいブランド魚「信州サーモン」。長野県水産試験場がニジマスとブラウントラウトを交配して作ったもので、辰巳の養殖池でも稚魚から成魚になるまで北アルプスの湧水の中で育てられている。水揚げされ三枚におろしたものを鮮度が落ちないうちに素早く処理することで、新鮮な切り身やスモークを自社の材料だけではなくお土産用などに加工している。池田町に信州サーモン加工専用の第二工場を新設し、本格的に生産をはじめている。

新商品「てまり寿し」

この新鮮な信州サーモンの切り身を生かして作られたのが、この「てまり寿し」。丸いシャリの上に昆布と信州サーモンを乗せた、辰巳の新商品だ。新鮮なうちに切り身やスモークにした信州サーモンを使って、手際よく寿しが作られている。信州サーモンは勿論、シャリに使われている米や酢も、全てが信州産というこだわりようだ。

新たな淡水魚の可能性を追究

海のない長野県において、重要なタンパク源として食べられてきたニジマスなどの川魚。この川魚を生産から加工までおこない、ブランド品として販売する「6次産業」を自社で全て出来るのが、辰巳の特徴でもあり強みだ。「将来的には鯉なども含めて、川魚全般を扱っていきたい。」という高原社長。「海なし県」の立場を逆手にとって、定番商品と新商品で信州の川魚のブランド力を高めている。

【取材日:2014年6月23日】

企業データ

株式会社 辰巳
安曇野市明科中川手2795-1 TEL:0263-62-4628
http://azumino-trout.com/