[サイプラススペシャル]351 ソファ・ランドセルから自社ブランド製品まで 国内有数の天然皮革加工企業

長野県飯田市

宮内産業

飯田市にある宮内産業は、1937年創業。1958年に現在の地に移転して以来、牛や馬などの天然皮革の加工を手掛ける国内有数の企業だ。家具椅子張り用国産革の4割、天然皮革ランドセルの8割がこの工場で加工された本革を使用している。
「アルプスカーフ」と名付けた自社ブランド製品も販売していて、天然皮革の更なる可能性を拡げようとしている。

取材後記

特定の分野にこだわらない本革加工

宮内社長「ひとつの分野に『こだわらない』ことが当社の最大のこだわりです」という、三代目社長の宮内清彦さん。その言葉通り、天然皮革の加工を始めてからソファなどの家具用皮革からランドセル、シートやステアリングなどの自動車内装品に至るまで、時代の変遷に合わせるように本革製品の原料となる皮革加工を続けてきた。

ランドセルのシェアは8割

特に天然皮革のランドセルにおいては、国内生産の8割の原材料を供給している。主に原料として使われる「コードバン」という馬の臀部にあたる革は、耐久性が高くランドセルの原料に適している。加工が難しく生産効率を合わせるのが難しい素材だが、本物志向の顧客ニーズの高まりと共に国内外で需要が伸びているという。

ランドセル コードバン

いくつもの工程を経て仕上げる

天然皮革の加工は、出荷に至るまでいくつもの工程を経て仕上げられる。なめしや乾燥・塗装・伸ばしなど、その作業は20項目を超える。工場に並ぶ加工用の大型機械の中には、海外でしか製造されていないものも数多い。品質管理や検査設備も備えているほか、環境保全への取り組みにも努めている。このような設備や規模を持つ皮革加工企業は、現在は国内で数社しかないという。

製造工程 大型ドラム

自社ブランド「アルプスカーフ」

天然皮革の加工と同時に、自社ブランド製品も販売している宮内産業。「アルプスカーフ」のブランドで、ランドセルをはじめ財布やベルトなどの革小物を製造している。原料の本革は全て自社工場で加工されたもので、厳選された素材をひとつひとつ丁寧に仕上げている。自社の直営店やネット販売のほか、南信地域の高速道路SA・PA内のアンテナショップでも購入が可能だ。

直営店 財布

地元ならではの製品づくりも

飯田地域は古くから皮革加工が盛んな地域で、その流れをくむ企業も多い。これらの企業と連携して飯田を「皮革の産地」にしようという活動が、宮内産業を中心に始められている。原料となる革に地元で狩猟されるニホンジカを活用しようという試みなど、「原料から製品化までを飯田で」という新たな取り組みで他との差別化を図ろうとしている。

YES!

【取材日:2015年10月29日】

企業データ

宮内産業株式会社
〒395-0821飯田市松尾新井6363 ℡0265-22-7161
http://www.alps-calf.co.jp/