[サイプラススペシャル]461 まさにマジック!精密微細「放熱板」 どうやってプレスでつくるの?を実現する技術力

長野県上伊那郡

中村製作所

プレスで「世界初」にチャレンジ
小さな羽根(フィン)が並ぶ放熱板

「プレスで、世界初にチャレンジします!」
何枚もの小さな波状の羽根(フィン)が並ぶ金属部品。独自のプレス工法で薄型・軽量化を実現した放熱板です。
今回は「ものづくり大賞NAGANO2017きらりと光る技術賞」を受賞した中村製作所(箕輪町)をご紹介します。

「ナカムラマジック」と名付けられたプレス

プレス加工の不可能を可能に

精密プレス部品加工を中心に、金型の設計・製作などを手がける中村製作所。これまで削るなどの機械加工でしかできなかった部品を、プレス加工で作り上げる技術力を持っています。
プレス加工の優れた点は、機械より低コストで大量に作れること。中村製作所は長年蓄積したノウハウを活かし、他社ができないような複雑で精密な加工を、プレスで実現しました。

「ナカムラマジック」と名付けられたプレス

ノウハウが詰まった金型

プレス加工で重要になる、金型開発。ひとつの金型の中に、部品づくりのノウハウが詰まっています。
金型開発課長荒井和人さんに、中村製作所の強みを伺いました。

「うちの独自の工法で色々あるんですけど、それを総称しまして『ナカムラマジック』としてブランド化して、それをもとにお客様に提案、または共同開発といった開発志向の強いところにあると思っています。」

「ナカムラマジック」と名付けられた、独自のプレス加工技術。「どうやってプレスでつくるのか?」まるでマジックのような部品加工を手掛けています。

ノウハウが詰まった金型

小さな羽根(フィン)で世界に羽ばたく

0.05mm超微細なフィン

その一例が放熱板です。
電子機器が高速化・高性能化する中で課題になるのが熱です。熱を効果的に逃がすことが求められます。
中村製作所は、微細な羽根状の板(フィン)を複数並べることで、電子機器の大敵である熱を効率的に逃がす放熱板を開発しました。
上下の圧力で打ち抜くプレス加工にありながら、中村製作所が手掛ける放熱板は立体形状。1枚1枚の羽根は厚さ0.05mm、その微細な羽根が0.05mm間隔で並んでいることで効果的に放熱することが可能です。
平らな金属板から微細なフィンを立ち上げる、、、プレス加工の常識からは考えられない、まさに「マジック」というわけです。

小さな羽根(フィン)で世界に羽ばたく

売上前年比450%

技師長の高橋敬一さん 設計を担当した技師長の高橋敬一さんに、放熱板の特性を伺いました。
「従来のものに比べ、半分近くは使う材料の体積は少なくなっています。なおかつ放熱性能も20%程度アップしています。」
切削に比べ、短時間、低コストでの加工が可能になるだけでなく、材料も少なく、その羽根の薄さにより放熱性能も向上。AI(人工知能)や航空機などの成長産業などを中心に注目度も高く、同社内の同加工の売上は実に前年比4.5倍と、さらなる成長が期待されます。
小さな羽根(フィン)

「開発志向」で世界に挑む

「開発志向」で世界に挑む 高度な加工法を強みとする中村製作所は、金属プレス加工部品のスーパーサプライヤーを目指し、チャレンジを続けます。
代表取締役会長兼社長の宮原友保さんに、中村製作所の競争力の原点を伺いました。
「完全に開発志向です。うちの売りはそれだけです。あとはそれを確立した後、いかに工程能力を付けて大量生産にも対応できるような態勢をとるかということだが、基本は開発志向。」
かつてiPod miniのハードディスクケースを手掛けていた同社は、世界からも注目される技術力を持っています。これまで不可能と言われたプレス加工を実現し、さらに量産化へも対応。中村製作所は小さな羽根(フィン)でふたたび世界に羽ばたこうとしています。

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【取材日:2017年12月07日】

企業データ

中村製作所株式会社
〒399-4603 長野県上伊那郡箕輪町三日町493-1 TEL:0265-79-3880(代)
http://www.nakamuramfg.co.jp/