多種多様、様々なものを作っていくひかり味噌
消費者ニーズに合わせた商品数は1000超
「こうじ」の甘みとうま味がバランスよく味わえるとして、多くの人に支持され、発売以来25年にわたり、ロングセラーとなっている無添加味噌は、市場をけん引するひかり味噌の主力商品です。
味噌以外でも即席みそ汁やスープ春雨、スープフォー、甘酒など5つのカテゴリーで、家庭用の自社ブランド・流通各社のプライベートブランド・業務用をはじめ常時1000を超える多種多様な製品を展開しています。
消費者のニーズに合わせ細分化されたアイテム数こそ、ひかり味噌の強みのひとつ。
「もちろん生産量が多いものもありますが、大量生産で画一的なものを効率よく作るというより、多種多様、様々なものを作っていくのがひかり味噌のスタイルだと思います。国産味噌や、有機味噌、または素材の配合が違っているなど、お客様のニーズに合ったものを作っていけることが強みです」と、ひかり味噌で製造部門を担当する醸造部長小市一道さん。
信州の豊かな自然の中で一貫生産
味噌づくりの拠点は、飯島町の飯島グリーン工場。原料の入荷から商品の包装・出荷まで味噌生産の全工程を一貫して行っています。
味噌づくりに最適で良質な大豆などは独自に調達、選別した大豆を洗浄し、巨大な圧力釜で蒸したり、ボイルしたりして処理。
味噌づくりに欠かせないこうじは、円盤式の自動製麹装置で生産。出来上がった麹は大豆、塩、水とよく混ぜて仕込んでいきます。
仕込んだ味噌は、見上げるように大きい立体倉庫式の醸造庫で商品によって2~62か月、発酵・熟成させます。
飯島グリーン工場では年間3万9000トンの味噌を生産しています。
無添加・オーガニック有機で世界に挑む
メイド・イン・ナガノのおいしさを世界に発信
少子高齢化や食生活の多様化で、国内での味噌の消費量が減少しています。
そんな中、ひかり味噌では、子どもたちに和食の魅力を伝えようと、地元の飯島小学校で食育セミナーを開きました。みそ消費の裾野を広げる取り組みです。
ひかり味噌は、味噌の海外展開にも積極果敢に挑戦します。イスラムの戒律に従って製造したことを証明するハラール認証マークが表記された味噌。イスラム圏の食品市場参入をめざし、業界に先駆けて取得しました。
「全世界に対する味噌の輸出は110~115%必ず伸びている、これから5年、10年は継続すると、私は自信を持っています」と、林善博社長。
さらに、海外展開はひかり味噌が得意とする多品種生産が生かせると林社長は考えています。「もともと味噌をたべる歴史がない海外だからこそ、『みそ汁』以外に味噌をこんな形で使えるのではないかという発想がある。かえって海外の方から色々な発想・工夫が生まれています。」
徹底した現場主義で業界3位に
セイコーエプソンで長年、海外営業を担当した林社長は、今も年間90日近く欧米やアジアに出向き、原料の調達や営業活動に奔走。国内市場が縮小する中、社長は海外のみそ市場開拓が一層重要になると考えています。
林社長が大事にするのは、徹底した現場主義。
取材したその日も、社長は飯島グリーン工場のプレゼンルームで醸造部の部長ら社員と一緒に、減塩タイプの味噌商品の官能検査を行っていました。口に含み、においをかぎ、目で見て触れることで味噌づくりのプロが味噌の色、味、香りを確かめるという重要な検査です。
現場主義にこだわり、消費者ニーズにあわせたアイテム数を出すことで、後発のひかり味噌を売上3位の大手メーカーに急成長させました。
「発酵食品は健康にいいという追い風が吹いている。ひかり味噌のブランドメッセージ『自然の恵み いただきます』を具現化しているのが『無添加味噌』や『有機味噌』です。信念を持って、それを我々の心の支えにして、無添加・有機のカテゴリーで頑張っていきたい」
日本の伝統食で健康な食生活を応援したい。メイド・イン・ナガノの味噌のおいしさを成長が期待されるグローバルに発信する。無添加・オーガニック有機を前面に出した販売戦略と商品開発力で、ひかり味噌は更なる成長をめざします。
【取材日:2018年07月24日】