[サイプラススペシャル]12 顧客ニーズに応えた多様な商品を開発 洗車機・LED表示装置でトップシェア

長野県千曲市

エムケー精工

洗車機をはじめとするオート機器、LED表示装置を核とした情報機器、
そして、様々な生活関連機器を手がける『創意工夫』の全国ブランド

 エムケー精工の会社マーク「MK」は、誰もがどこかで見かけたことがあるはずだ。 灯油ポンプや米びつなどの生活関連機器、ガソリンスタンドの洗車機にも、それが刻印されている。さらに、街角で見かけるLEDを用いたマルチカラー表示機も、エムケー精工が業界トップシェアを誇る製品なのだ。
 一見、脈絡のなさそうな製品ラインアップでありながら、それぞれの分野でトップクラスのシェアを獲得しているエムケー精工。そのモノづくりの秘密に迫る。

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創業者の発明品「灯油ポンプ」がMKの原点

オート機器、情報機器、生活機器…個性の異なる3つの製品群

 上信越道と長野自動車道が交わる更埴ジャンクションに近いエムケー精工本社。巨大なMKマークの看板に見覚えのある人も多いだろう。
 千曲川沿いの広い敷地には、スタッフ100名をかかえる商品開発研究所がある。そのトップ、取締役商品開発研究所長の早川和弘氏から様々なお話を伺った。
 「当社の事業は、大きく3つの製品群に分かれています。ひとつは、ガソリンスタンドの大型洗車機に代表されるオート機器部門。次が、LED表示器をつくっている情報機器部門。そして3つ目が、パン焼き機・餅つき機・低温貯蔵庫など家庭用の生活機器部門なんです」
 創業1948年のエムケー精工(当時は丸山工業)は板金加工からのスタートだった。鍋や釜を作っていた町工場が、なぜこれほどまで多岐にわたる商品展開をしたのだろうか?

未来への可能性を拓いた灯油ポンプの発明

 早川所長が取り出した、金属製の50cmほどの棒。
 「これがMK精工の原点です」と笑顔で語る。1950年代に製造された灯油ポンプ。創業者である先代社長が、得意の金属加工技術に、特許を取得したアイデアをプラスして生み出した商品だ。「現在はプラスチック製ですが、開発当初はこのような金属製だったんですよ」
 今ではどこの家にもある灯油ポンプだが、エムケー精工が世に送り出した当時は画期的な新商品として大ヒットした。重いタンクを持ち上げなくても、たやすく給油できる。女性やお年寄りを力仕事から解放したこの新発明で、エムケー精工は新たな領域へ大きく羽ばたく。

ポンプ成功でGSが新たなお客様に

 灯油ポンプの大ヒットで、MK精工に新たな顧客が生まれた。それは灯油を販売するガソリンスタンド(GS)だ。
 スタンドから家庭へ灯油を運ぶタンクローリーを手始めに、自動オイル交換機、エアコンガスのクリーニング装置、バッテリーテスターなど、GS業務の効率化をサポートする機器を次々に商品化していった。
 灯油ポンプもGS用商品も、根底にあるのはニーズ。客がどんな機能を求めているかを敏感にキャッチすることがアイデア豊かな商品群につながっている。

 こうした取り組みの言わば「集大成」が洗車機だ。
 洗車機市場への参入は今から25年前。当時、GSは省力化のため、洗車機の導入を進めていた。ニーズをとらえたエムケー精工だが、後発メーカーゆえ、ありきたりの商品では勝負にならない。満を持してマーケットに投入した製品が、世界初の「マイコン制御の洗車機」だった。

3つの部門を代表する製品。どの製品にもエムケー精工ならではの技術が投入されている。

商品開発研究所長の早川取締役。大手電機メーカーに勤務後、Uターンで入社。

エムケー精工の原点、灯油ポンプ。MKの文字も見える。

お客様のニーズが技術の蓄積につながる

「セルフ時代」が追い風に

 現在、国内トップシェアを誇るエムケー精工の洗車機。原動力になったのは、「マイコン制御」と「GSセルフ化」の流れだった。マイコン制御は、これまでの機械式の洗車機では不可能だった、きめ細かで柔軟な動きを可能にした。さらなる追い風がGSのセルフ化だった。
 セルフのスタンドでは、ドライバーが車に乗ったまま洗車する。誰でも簡単かつ安全に操作でき、キレイに洗い上げなくてはならない。ポイントは、自動車の形状をとらえるセンサーだった。メーカーや車種によって様々な車のカタチを見極める優れたセンサーの開発が勝負の鍵を握る。
 エムケー精工の洗車機は、300本以上のビームを照射して車の側面図を正確にとらえる。さらに小型のCCDカメラによって、ナンバープレートやミラーなどの突起物を検知する。これらの情報をもとに、洗車ブラシが自動車の形状にそって、突起物を避けながら前後左右に動く。
 洗い残しが少なく、手洗い洗車に近い仕上がり。正確なシルエット判断ができるセンサー技術によって、エムケー精工はついに業界シェアトップの座に躍り出た。

トイーゴビジョンもGS生まれ!?

 エムケー精工3本柱のひとつ、情報機器部門のルーツもGSだ。
 「より目立つ看板がほしい」そんなスタンドの要請に応えたのが視認性の高いLED表示装置だった。エムケー精工は自社のエレクトロニクス技術を生かして、このマーケットに参入。LED表示機を単なるPR用具ではなく、高度な画像を表示させるという付加価値をつけ、戦略的な販売促進ツールとして商品化していったのだ。

 現在、このLED表示機はGSだけではなく、一般の店舗や施設の案内サインやパチンコ店などのアミューズメント産業にまで需要が広がっている。
 さらに青色LEDの登場で、エムケー精工はフルカラービジョンを開発した。長野市内の商業施設トイーゴにある国内最大級271インチ(2006年設置当時)の「トイーゴビジョン」もエムケー精工が製作したものだ。

いい商品はマーケットを拡大させる

 鍋・やかんといった金物製造で創業し、灯油ポンプからGS向けに製品開発を進めたエムケー精工。GSのニーズから生まれたLED表示装置を含め、エムケー精工の強みであるメカトロニクス技術は、顧客の要望に応える中で蓄積されていった。
 洗車機=オート機器、電光掲示板=情報機器、米びつ=生活機器、無関係に見えた3つの事業部門は、お客様のニーズに応えて商品開発を続けた結果だったのだ。

ガソリンスタンドとの接点から、洗車機やLED表示機など新製品が生まれた。

多品種生産が可能な工場。金型なども自社で開発することができる。

工場内では最新鋭の工作機械も稼動する。


新製品は「積み重ね」から

全社員が開発スタッフ

 エムケー精工は全社員800人のうち100人超を商品開発セクションに充てている。機械設計、電子回路設計、ソフトウェアなど、開発型企業としてひとつの完成品を仕上げるために必要なスタッフをすべて自前で揃えているという。

 商品開発の提案は、開発セクションだけの仕事ではない。
 「世の中でどのような商品が求められているか。それが商品開発のスタートなんです。ニーズの探索は、開発スタッフはもちろん、他の社員も意識していて、いわば全社員が開発スタッフです」開発部隊を率いる早川所長は語る。
 全国に直営の営業所を置き、保守メンテナンスを行うことも、客のニーズ把握に大いに役立っている。需要や要望が新商品開発のアイデアに高められ、既存の製品の改良にも結びついている。

自社ブランドを出すことの悦び

 現場からの声が、エムケー精工の商品開発を支える。
 社員から面白いアイデアが出され、開発がスタートすることが多い。最近はイントラネットでつねにアイデアの応募を受け付けている。これまでの特許取得数は実用新案も含めて500件を超えるとか。

 エムケー精工は自社ブランドで販売しており、製品が世に出た時、客の反響がじかに返ってくる。そこに「社員としての喜びがあり、だいご味がある」と早川所長。長野発で日本全国に勝負を賭ける「MK」。
 灯油ポンプに始まった開発型企業の歴史は、いまも現在進行形だ。

今でも人気。MKの灯油ポンプ。

上から、パン焼き機、こめびつ、レンジ台。家庭用品も数多く手掛ける。


【取材日:2008年9月17日】

企業データ

エムケー精工株式会社
長野県千曲市雨宮1825番地
http://www.mkseiko.co.jp/