[サイプラススペシャル]57 求めるのは「心」「体」「肌」の健康 きれいな水と空気の佐久へ

長野県佐久市

アルソア本社佐久ファクトリィ

 「トータルな健康づくり」を企業理念に掲げる株式会社アルソア本社のものづくりの中心は、「水」をテーマにした化粧品や健康食品の製造販売である。1998年本社は東京から山梨県北杜市小淵沢に移転したが、健康食品工場、化粧品工場は、長野県の佐久リサーチパークにある。
 上信越自動車道佐久インターチェンジを降り、県営産業団地「佐久リサーチパーク」へ向かう。「佐久リサーチパーク入口」の信号を左折すると、唐松の並木と浅間山の裾野につながるなだらかな傾斜地が広がっている。車で数分走ると、丘の上の「アルソア本社佐久ファクトリィ」が目に入ってくる。大きなS字をイメージさせる緩やかな曲線の白い外壁は、まるで美術館のようだ。周囲の景色にとけ込んでいながらも「理念」が伝ってくる「ファクトリィ=工場」だ。

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始まりは石けん「肌のトラブルを何とかしたい」

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 アルソア化粧品の創業は、1972年、美容師であった創業者が、お客様の肌トラブルの相談を受けたことから始まった。きれいになりたいと使う化粧品が肌のトラブルの原因になり、「化粧品公害」という言葉も生まれた時代であった。「肌を健やかにするにはどうすればいいのか」「肌あれの悩みを解決したい」その創業者が作り出したのが、ミネラル分を含んだ黒い石けん「アルソアクイーンシルバー」である。「石けんは白」が当たり前の時代に、黒い色で、知名度もなく、値段も安くないこの黒い石けんが受け入れられるまでには時間がかかったという。しかし、実際に使ってみた人から寄せられる「肌がきれいになりました」という声が、何よりの実証、おおぜいの女性達に認められ、アルソア化粧品の基礎がつくられた。

 石けんから、肌を整えるスキンケア化粧品、さらにメイクアップ化粧品にと、石けんの愛用者のニーズがアルソア製品の種類と内容を広げていった。そして、今、佐久ファクトリィの化粧品工場では、化粧水やパックなど基礎化粧品を中心に、約30品目の化粧品が生産されている。

水を求めて 原料はあくまで自然

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 佐久ファクトリィは、1995年に埼玉県所沢から健康食品工場が、その3年後には化粧品工場が移転し、アルソア製品の製造拠点の一つとなった。移転の最も大きな理由は「水」と「空気」。特に、水については「河川から取水し薬品処理した一般的な浄水とは異なり、八ヶ岳水系の湧き水を水源とする佐久市の水道水が決め手でした。」と佐久ファクトリィの責任者である江沢工場長は語る。自然の地層で濾過された良質な水は、アルソアの『人と自然の調和の中に、真の健康と幸福を創る』という製品作りに欠かせない原料なのだ。そしてこの水から、アルソア独自の水「アルソア水」が作られている。

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 「アルソア水」は、まず、原料となる水を浄化し、有機物や無機物を取り除き純水にする。純水は、他の成分を溶け込ませる力が強いので、ミネラルを抽入、目的とする濃度や成分を含ませ、製造される。実際に触れてみる柔らかく、肌を包み込むような感触である。微生物のチェックはもちろん、1000トンの水の中の1グラムのミネラルを分析、検査しているという。毎日の厳しい水質検査を経て、肌にあたったときの感触も確認しながら作り出される水、これが肌を健やかにする化粧品づくりのこだわりの原料「アルソア水」なのだ。

 もう一つ、この佐久ファクトリィの製品の主要な原料が「温泉水」である。北海道十勝川流域に湧出する温泉水だ。植物の堆積層をくぐり抜けミネラルを豊富に含んでいるこの温泉水を陸送し、冷蔵保管して原料として使用する。

 様々な水を研究してきたアルソアならではの原料である。この原料水と、植物などから抽出したエキスを混ぜ合わせ、この工場の心臓部ともいえる化粧品調整部署で中身が製造される。容器への充填は、製造ラインを使って自動化されているが、少量多品種の製品が多いため、ケースに入れる、箱に詰めるという作業は、人である。一つ一つ丁寧に箱詰めし、シールをはる。7名から8名で生産ラインを作り、流れ作業で行われる。なごやかな雰囲気の中にも、どんな小さな汚れも許さない緊張感が漂っている。

品質第一のものづくり

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 工場内は真っ白な無塵衣(むじんい)を着用である。化粧品は厳しい衛生管理下で製造されていると聞いていたが、清潔感あふれる空気は、玄関を入ったときから感じ取れる。工場だからということではなく、建物すべてが「きれい」という一つの空気感で満たされているのだ。

 アルソアの衛生管理は、製薬会社のレベル、防腐剤を使用しないため、クリーンルームでは、0.3ミクロンの塵を99.97%除去。エアーシャワーのある出入り口により衛生レベルで区分けされ、室内は段階的な更衣が行われるという細心の注意が払われているのだ。さらに、異物混入を防ぐために、常時監視システムにより防虫管理をしている。

 また、従業員のユニフォームは年間を通して長袖である。体毛などの異物の混入を防ぐためだそうだ。日々の作業は、製品の製造が5.5時間、残りの2時間は、使用した機器を分解して洗浄滅菌に費やされるという。洗浄のあとには必ず機器を滅菌する。これも防腐剤を抑えた製品作りには欠かせない作業だ。

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にこにこバッジで品質維持

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 ローションの充填作業フロアや、箱詰め作業現場には、塵一つ落ちていない。隅々まで磨かれた床、整然と並ぶ分別用ゴミ箱や、机の上の文具類など、この清潔感が、化粧品の品質につながると実感した。

 現在、従業員は100名、働き方は、品質を最優先にだという。生産ラインにつきものの機械音も長時間その中で働く人にとっては、ストレスとなる。そのストレス解消に、工場内にはモーツアルトの音楽を流している。ゆったりした気持ちで作業をすると、間違いも少なく、製品の質も維持される。また、継続的な5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)だけではなく、女性のコミュニケーションチームをつくり、働きやすい職場づくりを心がけているという。このチームの提案で、挨拶をしっかりやろう、にこにこバッジをつけて笑顔で仕事をしようという運動も展開し、効果があがってきている。

いい気持ちで働くことは、いい製品作りにつながる、製品管理も健康管理も良い環境のなかで最大の成果が生まれる。企業理念が様々な形で浸透している。

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自然と共生するライフスタイルを

 佐久ファクトリィでは、佐久市への移転時に、全社的に禁煙に取り組み、実行している。佐久市のきれいな水と空気は、会社の基本理念「自然と調和した健康と幸福づくり」を実践するのに最適な環境なのである。

 江沢工場長は語る。
 「仕事は楽しくしたいですね。楽という意味ではなく、やりがいのある楽しさです。厳しさがあって、それを全うして本当の楽しさがありますから」

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 アルソア化粧品の売り上げは、肌の調子を整える基礎化粧品が6割である。販売方法も、肌にトラブルを抱えた人にカウンセリングしながら対面で販売する形を、創業時から続けている。 外面を美しく装うことよりも、健康で、内面からのあふれ出る美しさを大事にするという考え方になじむ販売方法なのだ。多く売ることそのものよりも、お客様に喜んでもらうこと、自分が使っていいものを自信をもってお客様に提供する、ライフスタイルの提案にも迫るものづくりの形である。

【取材日:2009年11月26日】

企業データ

株式会社アルソア本社 アルソア佐久ファクトリィ

長野県佐久市瀬戸 553- 7 佐久リサーチパーク TEL:0267-63-8000
http://www.arsoa.co.jp/company/factory/index.php