[サイプラススペシャル]90 アフターマーケットのリーディングカンパニー やわらかな心で 世界を舞台に。

長野県佐久市

エムケーカシヤマ

今や生活必需品の車に、メンテナンス用部品は欠かせない。アフターマーケットと呼ばれている車の補修部品の市場で、ブレーキ部品の国内トップシェアを誇るエムケーカシヤマ。販売台数の増減やハイブリッド車・電気自動車の普及など自動車関連の話題は多いが、まずは安全に走る車が大切。日々お世話になっている『ブレーキ』に、エムケーカシヤマの50年の技術が凝縮している。

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日本車の市場はアフターマーケットの市場

消耗するブレーキパッド

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エムケーカシヤマの主力製品はブレーキパッドである。ブレーキペダルを踏んだとき、タイヤと一緒に回転している円盤状のディスクローターを、両側から押さえる部品がブレーキパッド、大きさは大人の掌に入る程度の部品である。このブレーキパッドがディスクローターを強く挟み込んだときに発生する摩擦力が車を止める力になる。強く挟み込むと摩擦と同時に高い熱(場合によっては300~400度)も発生し、ブレーキパッドは消耗する。消耗の度合いは運転によって差があるが、ブレーキパッドの交換は安全走行に欠かせないメンテナンスだ。世界に広がる日本車の市場はエムケーカシヤマの市場でもある。

製品は『Made inエムケーカシヤマ』

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エムケーカシヤマは、1960年に樫山プレス工業として設立、金型部門の独立後、社名をエムケーカシヤマと変更して今日に至る。製品は一貫してブレーキ部品、しかもアフターマーケットに特化した製品づくりだ。「御社の強みは?」という問いに、「製品のラインナップです。」と即答する樫山剛士(つよし)社長は34才、2010年4月から樫山金型工業(株)とあわせて経営の指揮をとる。
エムケーカシヤマのブレーキパッドは、日本車の95%の車種をカバーし、その数900アイテム、今年のエムケーカシヤマの製品カタログには、1980年以降に国内10社の自動車メーカーで生産された車種のブレーキシューとブレーキパッドが掲載されている。車種は乗用車だけではない。小型車も業務用のトラックもある。特定の親会社を持たない強みが、ここに表れている。しかも、A4サイズで厚さ2センチほどもあるこのカタログ、同様の内容で英語版も作られており、こちらは輸出比率7割というエムケーカシヤマの海外市場で活躍している。

摩擦材はラーメン屋さんの秘伝のたれ!?

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ブレーキパッドの品質の要は、その摩擦材にある。数十種類の原材料が、メーカーによってはもちろん、車の大きさや重さ、製造時期によっても異なった割合で配合され、摩擦材となる。同じ車種でも国や地域によっては使用する原材料に違いがあり、ことに環境規制が厳しいヨーロッパでは、各車種の部品一つ一つに認証取得が必要である。「取得している認証の数でもどこにも負けません。摩擦材はラーメン屋さんの秘伝のたれと同じ、これがエムケーカシヤマの技術です。」樫山社長の解説は、蓄積されたデータとノウハウがあればこそ。補修部品市場で50年、世界が求める品質を提供し続けている自信が見える。

新品よりも優れた製品を

多品種小ロット生産

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ブレーキパッドの土台はバッキングプレートという加工した鉄製の板状のものに、ブレンダーという工程を経た"秘伝のたれ"にあたる原材料がプレスされる。そして熱成形の工程へ進む。この過程で1平方センチメートルに数百キログラムの圧力がかかり、摩擦材がバッキングプレートに接着される。更に摩擦材のムラをなくすために再度熱処理を行い、塗装・研磨作業を行う。必要な部品を装着し、最終検査を経て出荷となる。
どの工程でも冶具の多さが目を引く。大きさだけではなく、左右の違い、溝の有無、面取りの幅など、細かな違いが、そのまま冶具の数にも反映する。特に金型数は1000種類近く用意されており、正確な型を継続して抜くために金型自動洗浄機も稼動している。
工場では、平均して1日に70~80アイテムのブレーキパッドを生産している。多い日は、1日100アイテム、総量にして2万枚を生産することもあるという。その一方、一箱単位の発注も受け、場合によっては1セット2セットの注文に対応できるのも、エムケーカシヤマの強み。しかし、数だけではない。製品は人の命を預かるブレーキ部品である。「エムケーカシヤマが目指すのは新品以上の性能です。」心意気があふれる現場である。

生産設備も自社で設計開発製造

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樫山社長が語る「エムケーカシヤマはアフターマーケットにぴったりの製造方法を確立しています、頭からおしりまで」という言葉の通り、工場内の生産設備も金型を始め、その7割は社内で造られている。生産性を挙げるためのベストな生産工程は?CO2削減のためにどのように省力化するか?など、現場のニーズを反映した1品1様の生産設備が、フレキシブルなものづくりを可能にしているのだ。

ブレーキダイナモ試験機

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エムケーカシヤマの技術研究所には、ブレーキパッドの試験機がいくつも設置されている。「ブレーキダイナモ試験機」これはあらゆる走行状態での制動状態を確認できる装置だ。軽自動車から2トントラックまでの車両条件や温度や湿度などの試験環境を設定し、減速度を様々に変化させて摩擦材のデータやブレーキのいわゆる「鳴き」という音を計測する。

「ブレーキ試験機」は、走行中にブレーキを踏んだときのパッドの磨耗量や発熱状態をシュミレーションし、データを作成する装置だ。回転の上がったディスクローターをブレーキパッドが挟み込むと表面に真赤なリングが浮かび上がる。表面温度は700度にもなり、煙が上がり火花も飛び散るが目を離せない光景。製品の性能を確認し、信頼性を高める作業だからだ。

世界市場を見据える

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新車の性能の向上や、車の保有台数の減少など、国内のアフターマーケットは新たなステージを迎えている。エムケーカシヤマも売り上げ全体の7割が海外向け。特に近年は欧米のみならず、ロシアをはじめとし、中近東やアフリカにも日本車の中古車市場は拡大している。1994年に設立したインドネシアの生産拠点の充実のみならず、製品の質量の充実とともに、拡大するエリアに対するデリバリーサービスも、大きなポイントだ。また、性能の差は絶対的にあるものの、韓国や中国製品とのコスト競争も顕在化しつつある。

しかし、樫山社長は「急によくなるような必殺技はない。製造開発拠点は、ここ佐久で残していく。」と力強く語る。エムケーカシヤマのものづくりの現場だけではなく、日本人のまじめさ・ものづくりへの真摯な姿勢は「もっと高く評価されるべき」と言葉が続く。
エムケーカシヤマでは、今も、高い評価を得ている軽自動車向けや建機、タクシー・トラックなど商用車向けのブレーキ部品の摩擦材の開発をさらに進めようとしている。最適な素材で最適な製品を提供したい、そのためには車種ごとの研究の余地はまだまだある。一貫生産のノウハウを生かしたコストの追求、海外市場のリサーチも積極的に進めている。
樫山社長のグローバルな経営戦略とものづくりへの思いが、エムケーカシヤマを大きく前進させるに違いない。

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【取材日:2010年8月27日】

企業データ

エムケーカシヤマ株式会社
長野県佐久市小田井1119 TEL:0267-66-1755
http://www.mkg.co.jp/