[サイプラススペシャル]160 レーザハンダ付け装置をより微細加工可能な領域に 展示会で自社製品を積極アピール

長野県上田市

堀内電機製作所

今年1月に東京ビッグサイトで行なわれたアジア最大のエレクトロニクス関連企業の展示会「ネプコンジャパン」。国内外の企業・団体など約1900が参加する大規模なものだ。県内企業も数多く出展するなかで、上田市に生産拠点を置く堀内電機製作所が自社の新製品を積極的にアピールするブースの模様を取材した。

エレクトロテストジャパンに出展

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展示品は全て自社オリジナル

堀内電機製作所が出展したのは、製造機械製品を集めた「エレクトロテストジャパン」。基板分割やネジ締めをするロボットやCO₂レーザマーキングシステムなど、会場に展示されているのは全て自社のオリジナル製品。これらの中で今回堀内電機製作所が出展のメインに据えているのが、最新型のレーザハンダ付け装置「FOM-A351D」だ。


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レーザハンダ付け装置「FOMシステム」

この製品はFOMシステムと呼ばれるレーザハンダ付け装置の最新型で、すべて自社で開発したものだ。通常は直接コテをあてて行なう接触型のハンダ付けだが、この装置は半導体レーザを使用する非接触型。従来のタイプに比べて、より微細な加工を可能にしている。基板の量産をすることで長年ハンダ付けのノウハウを培うとともに、優れたレーザ技術を持つ堀内電機製作所だからこそ出来た自社開発製品だ。

実演によるプレゼンテーション

勿論ただ展示するだけでは、製品の良さを十分に伝えられない。レーザハンダ付け装置の実演を行なうことで、より製品の良さを伝える努力も怠らない。説明に沿って、レーザハンダ付けの実演を大型モニターで映し出す演出もおこなっている。装置の前には大勢の人だかりが出来て、作業工程を食い入るように見つめていた。

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100ミクロンの微細加工が可能

開発者が熱く語る新製品の魅力

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「今まで培ってきたノウハウを凝縮したものを、装置に反映させています。」と語るのは、開発推進部長の宮原仁さん。非接触型レーザハンダの開発に長年取り組んできた。最初は全くうまくいかず試行錯誤の日々が続いたが、失敗から学ぶことでノウハウを蓄積して8年前初のレーザハンダ付け装置の開発に成功した。「私たちが作った製品を広く知ってもらいたい。」と、PRにも力が入る。

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サイズはわずか100ミクロン

微小スポットタイプと呼ばれる新製品「FOM-A351D」は、小さな部品のハンダ付けに大きな力を発揮する。レーザを当てるビームスポットのサイズはわずか100ミクロン。自社従来製品の6分の1というサイズダウンで、より微細な加工が可能となった。この装置をベースとなるロボットに取り付けることで、生産ラインで活躍する。ハンダ付けだけではなく、樹脂溶接にも活用できる装置だ。


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スマートフォンなどに活用

非接触のレーザハンダは、接触型に比べてより早く高密度のハンダ付けが可能なため需要が年々高まっている。近年小型化が著しいデジタルカメラや携帯電話をはじめ、小さなボディに高密度の部品が組み込まれているスマートフォンのハンダ付けには欠かせない装置となっている。これ以外にも、今後の成長が見込まれる分野であるハイブリッドカーや電気自動車の部品製造にも使われている。

自社ブランド確立で描く未来像

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部品メーカーから更なる発展を

堀内電機製作所がレーザハンダ付け装置の開発に本格的に着手したのは、いまからおよそ13年前。当時ワープロやパソコンの基板生産をしていたが、年々微細な加工が求められるようになる中で、非接触の半導体レーザハンダの開発に着手した。このプロジェクトを後押ししたのが、会社が目指す「ブルーオーシャン戦略」。既存メーカーがひしめく競争が激しい分野を避けて、「非接触型」という未開拓分野に積極的に取り組むという戦略構想だ。


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価格競争を避けるための自社ブランド確立

「大量生産による価格競争には加わらず、他社がやらない開発をやることで差別化を図っていきたい。」と語るのは、出展スタッフのリーダー・工場長付の志摩光浩さん。ハンダ付けに関しては、様々な研究と実践を重ねてきたと自負している。より進化したハンダ付けを追及してきた結果が、今日の微細加工が可能なレーザハンダ付け装置を生み出したと言える。蓄積されたノウハウが今ここに実を結んだ。

工業系以外の用途にも使える製品を

現在レーザハンダ付け装置の使用用途は半導体などの工業系製品がほとんどだが、堀内電機製作所が今後目指すのは新たな分野での活用だ。「これからは食品や医療分野でも我々のレーザが使われるようにしていきたい」と語る志摩さん。非工業系部門に進出することで新たな市場を開拓する準備を着々と進めている。


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※堀内電機製作所の詳しい企業情報はこちらをご参照ください
サイプラス スペシャル 46

【取材日:2012年01月18日】

企業データ

株式会社堀内電機製作所
長野県上田市保野241番地 TEL:0268-38-5265
http://www.horiuchielectronics.co.jp/