[サイプラススペシャル]289 杖やポールに取り付けるLEDライトを開発 電子機器回路や自転車用アクセサリーを製造

長野県諏訪市

エー・アイ・エヌ

諏訪市にあるエー・アイ・エヌは、プリント基板の設計からスタート。現在はスピードメーターやライトなどの自転車用アクセサリーのOEM製造が、売り上げ全体の約7割を占めている。創業からの念願だった自社ブランド製品をこの春満を持して市場に送り出した。
夜間歩行の際杖やポールに取り付けるLEDライト「ヒカル君」がそれだ。

取材後記

基板から自転車用アクセサリー製造まで

大蔵社長

エー・アイ・エヌは、もともとは茅野市にあるプリント基板工場の設計部門として1980年に設立された。その後現社長の大蔵貴順さんの方針で、自転車用のアクセサリー製造部門を強化。これらが現在の主力製品となっている。このエー・アイ・エヌが今年4月に初の自社ブランド製品として世に送り出したのが、杖やポールに取り付けるライトだった。


初の自社ブランド製品は「ヒカル君」

ヒカル君

「ヒカル君」と名付けられたこの製品開発のきっかけは、大蔵社長の体験だった。介護している母親が夜間に外出する際の危険を防ぐために杖に取り付けるライトを探したが、どこも製造していなかった。「それならば自分で作ってしまおう」ということで、以前から製造している自転車用アクセサリーライトのノウハウを活用して開発に着手した。


人の動きに合わせて自動で発光

当初は振動センサーを取り付けたが、歩かなくてもちょっとした振動でも点灯してしまうなどの誤動作が多かった。そこで使用するセンサーを3Dセンサーに変えることで、人が歩き出していることを検出出来るようになった。ライトも照らす方向を微妙に変えることで足元全体を照らせるように工夫した。市場への広がりはまだまだこれからだが、使用したユーザーの反応は上々だという。

歩行シーン/ライト部分

高齢者が使いやすい工夫も

「ヒカル君」の開発には、既存製品の技術が数多く生かされている。暗くなったり振動を与えることで自動点灯する技術は、自転車用アクセサリーのものを流用している。また着脱や角度調整が出来るので、左右どちらの持ち手でも使用出来るうえ、使わない時にはライトをフック代わりにして立てかけるなど、高齢者に優しい設計が随所に見られる。

組立工程/立てかけた状態

更にノウハウを活かした新製品を

今後の目標は、「ヒカル君」の販路拡大と共に、新たな自社ブランド製品を開発すること。「今後も介護や福祉関係の分野に挑戦していきたい。人の役に立つ商品を世に送り出すことが目標です。」と語る大蔵社長。自社が得意とする省エネ技術や近距離無線技術を活用して、新たな商品を生み出す予定だ。

YES!

【取材日:2014年08月22日】

企業データ

株式会社エー・アイ・エヌ
長野県諏訪市中洲4431 TEL:0266-58-5055
http://www.ain-inc.co.jp/