長野県長野市
亜細亜印刷
昭和38年創業の亜細亜印刷。活版印刷からスタートして、電子化の流れの中でオフセット印刷に移行してその技術を磨いてきた。技能五輪世界大会の金メダリストを輩出するなど、その技術力は折り紙つきだ。もう一つの特徴が、「組版」と呼ばれる特殊な文字を組み合わせで作り出す技術。専門書にしか使用されない難しい文字を何でも作り、文字を組むことを、最大の得意分野と位置付けている。
「書籍部門の中でも、専門書が我が社の最大の得意分野。これだけはどこにも負けない自信がある。」と話すのは、社長の藤森英夫さん。亜細亜印刷は漢文や歴史書など、現在の常用漢字以外の特殊な文字が多く使用されている書籍を手掛けられる数少ない印刷会社。これらを可能としているのが、自ら大得意分野と自負する「組版」と呼ばれる技術だ。
「組版」とはコンピューターなどのデジタル技術を駆使して、現在使用されていない漢字や梵字なども含めてページレイアウトをしていく「文字を組む」という技術。他のどの会社も出来ない難しいものでもやることが、亜細亜印刷の最大の特徴であり、日本語文化をきちんと伝えていくことが会社の使命だと位置づけている。全社員、常にその意識を忘れずに働いているという。この組版技術を更に生かすのが、会社の生命線とも言える高度なオフセット印刷技術だ。
オフセット印刷とは、水と油の反発を利用する印刷方法。水にはじかれたインクが輪転機のゴムに転写され、そのゴムから紙に印刷されるという仕組みだ。オフセット印刷は単色の細かい印刷を組み合わせて色彩を描き出すもの。このオフセット印刷技術をとことんまで追究しているのが、亜細亜印刷の優れた技術スタッフたちだ。
印刷の仕上がりをチェックするこの女性は、伊東真規子さん。2011年ロンドンで行われた技能五輪国際大会の印刷職種で、金メダルを受賞した印刷のスペシャリストだ。日本代表になって以降、周りのサポートと本人が日々努力を重ねることで世界一の座を獲得した。本人の自信に繋がったことは勿論、他の社員たちのモチベーションも格段に向上する波及効果もあったという。
現在電子書籍の分野にも進出しているが、紙の本へのこだわりは創業以来変わることはない。会社に隣接するスペースに「アジア活版資料館」を開設して、古来の印刷文化を保存していることもその一環である。藤森社長は「昔から使われている日本語の表現・文化を何としても守っていきたい。そのことに全社員がプライドを持って働いている。」とこだわりを持ち続ける姿勢を崩さない。決して成長分野とは言えない業界の中で、技術力で輝きを放つために日々努力し続けている。
亜細亜印刷株式会社
長野県長野市三輪荒屋1154 TEL:026-243-4858
http://www.asia-p.co.jp