長野県長野市
山本食品
長野市に本社を置く山本食品。創業は昭和49年で今年創立40周年を迎える。現在の山本修社長は3代目である。
創業の山本正男さんは難しいといわれたそば粉100%の乾麺を日本で初めて製品化した人だ。創業者がエンジニアとしての知識と経験が豊かで自社で製粉した粘度の高いそば粉を製造する機械を開発したことが背景にあった。そば粉100%の乾麺は国内はもとより欧州でも評価を受け有機無農薬の原料を使用し、有機無農薬の認定工場の認可を得る事により、オーガニック製品として現在イギリスなど世界40か国に輸出されている。
一般的に手打ちそばでもつなぎを使わない十割そばを打つことは難しいといわれている中、機械製麺で100%そば粉の乾麺を国内で初めて開発した山本食品。背景には先々代社長のうまいそば造りにかける強い思いがある。そば粉と水だけで十割そばの乾麺を造るためには、材料となる粘り強いそば粉を作る製粉機が必要だった。昭和49年秋、先代が機械の開発に成功し現在の山本食品が誕生した。当時は出来るわけがないと誰も信じてくれない状況で農林水産省からそば粉100%の原材料使用の認定をもらい全国に向けて販売を始めた。
山本食品のこだわりは10割そばの乾麺の開発だけにとどまらない。安心して食べられるために材料になるそば粉の調達や無添加の製法にもこだわりがある。誰が栽培したそば粉か、誰が製麺し、誰が袋詰めした製品かなどの情報開示を大切にしている。
日によって気象条件が変化する中で手打ちそばに限りなく近い製品を作るには、そば粉と水の微妙な配合がある。この作業は経験を積んだ職人の手の感触、勘が頼りだ。機械がどんなに進化しマニュアル化できても、最後は職人の技が決め手となっている。
パンなどを主食とする欧州などでは小麦アレルギーが多く、そば粉100%の乾麺は日本とは異なる評価を受けている。また近年有機無農薬栽培の原料に注目が集まり、オーガニック製品として最近はイギリスなどヨーロッパ向けの輸出が急伸している。工場内では小麦粉などが十割そばの生産ラインに入らないように小麦のアレルゲン検査など様々な工夫が施され慎重な配慮がなされている。今後は十割そばの専用工場を造るビジョンも持っているという。
毎年、大豆島地区で地元の人たちを対象に「工場見学とそば打ち教室」のイベントを開催 している。信州そばを更に広めていくのが使命だと語る山本社長。今後について「信州そばに活かされている以上、国内はもちろん世界に向けて'信州そば'を広げるために頑張りたい」と言う。
山本食品株式会社
長野県長野市大字大豆島字樋掛け3893-11 TEL:026-222-3350
http://www.avis.ne.jp/~yamasho/