[サイプラススペシャル]324 着脱式の車いす補助装置を開発し製品化 東日本大震災がきっかけ

長野県上伊那郡箕輪町

株式会社JINRIKI

取材後記

箕輪町に本社を構えるJINRIKの中村社長。平成24年8月に会社を設立し世界で初めて押すだけの車いすから補助装置を付けて引くこともできる車いすを開発した。「押す」から「引く」への発想の転換により、いままで困難を極めていた車いすの砂利道や段差、坂道などでの移動を楽にできるようにした。

「引く+前輪を浮かせる」機能

実弟が車いすで生活し不便さを認識していた中村社長は何とか車いす生活者の移動が改善され介助者の負担を減らせないか腐心していた。 起業を決意させたのは2011年の東日本大震災だった。
災害時には車いすの緊急避難には大きな問題があった。
車いすを移動させる道路には砂利道もあり階段など段差があり坂道もある。こうした道路状況の中でスムーズな移動をどうしたらできるか。 ポイントは「押す」ではなく前輪を浮かせて「引く」にあった。引くことで前輪を浮かせることが可能になり介助する側の負担が減ってスムーズ移動がよりできるようになった。

ほとんどの車いすに合う着脱式の装置

JINRIKIが開発した着脱式の補助装置の優れたところは、ほとんどの車いすに対応できることだ。
現在使っている車いすに装着するだけで利用できる補助装置の開発は世界でも初めての画期的な試みだった。
ワンタッチで装着できる着脱式装置は2種類あり、常時装着のタイプ「JINRIKIじんりき」と避難など一時的に必要な場合に装着する「JINRIKI QUICKじんりきクイック」がある。

防災施設、観光地、介護施設などで広がる販売先

製品の製造は県内の企業に委託しJINRIKIは製品の開発、設計、販売を主に担当している。
地震など自然災害の際に車いすの方の避難をスムーズにさせるJINRIKIは行政や防災施設などからの引き合いが多い。
現在は用途が広がり介護施設や観光地での車いすの移動に安全で便利だと評価され販路が広がっている。

【取材日:2015年5月1日】

企業データ

株式会社JINRIKI
〒399-4601 長野県上伊那郡箕輪町中箕輪1536
http://www.jinriki.asia/