[サイプラススペシャル]415 住宅の省エネルギー化を研究 快適性は損なわずに

長野県長野市

信州大学工学部建築学科 高村 秀紀准教授

快適性は損なわずに省エネとCO2排出量の基準を達成する住宅とは。信大工学部の高村研究室が取り組むテーマです。寒冷地のため、長野県の家庭では冬場のエネルギー消費量は大きな課題です。研究室では、数々の実測データから省エネにつながる住み方や住宅設備の使用方法を探っています。

取材後記

蓄熱システムの効率化を検証

高村研究室では住宅メーカーとタイアップし、長野県北部の中野市で蓄熱システムを使った実験を進めています。床下に蓄熱システムとエアコンを設置し、蓄熱と放熱のより効率的なレイアウトを解析しています。学生たちは連日、張り巡らしたセンサーのデータを収集しています。

会議標識、展示会場

深夜電力を使用した蓄熱システムで日中も夜も「暖房いらず」

蓄熱システムの威力が発揮された実験があります。深夜電力を使用して午後11時から室温を23℃前後に保ち午前7時には暖房(エアコン)を停止します。蓄熱システムの有無で室温の変化を比較しました。実験が行われたのは外気温が氷点下2℃から5℃の冬場で、午前7時からは暖房は一切使用しません。結果は蓄熱システムがあると、終日(午後11時まで)20℃以上を維持することができました。一方、システムがない場合は午後6時には20℃を下回り、5時間分のエネルギーカットが可能となることがわかりました。

蓄熱材、設置状況

様々な実験で効率的な住宅設備の使用方法を検証

気密テスト

家庭でできる省エネについて、「いろいろなケースを総合的に提案したい」と高村准教授は話します。研究室では住宅の気密性や風量の測定、壁の熱分布など、住宅設備を様々な角度から検証し、高効率化を探っています。快適性は損なわずに省エネとCO2排出量を抑制する住宅整備の提案に向け、地道な研究が続いています。

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【取材日:2017年01月20日】

企業データ

(研究室のご案内)信州大学工学部建築学科 高村研究室
〒380-8553 長野県長野市若里4-17-1