世界最高水準「同軸コネクター」
他社にできないものをつくる
自動車の衝突防止レーダーや宇宙空間の通信などに使われている高周波信号。
その伝送に欠かせない高周波同軸コネクターやケーブルを手がけるのが「ワカ製作所」です。
麻績工場では、JAXAからも認定を受ける世界最高水準の同軸コネクターの組立やケーブルへの装着を行っています。
「テレビも4Kや8Kなど周波数が高くなるにしたがって情報量が増える。他社にできないものを作るというのが私たちのモットー」と話すのは、技師長の若林基宜さん。
手作業だからこその差別化
組立の多くは手作業で、地元の女性が大半を占めます。スタッフたちは、100分の数ミリで位置決めを行う精密なハンダ付けなど、繊細さが求められる作業を丁寧に進めていきます。
曲げ加工には専用機を使うなど機械設備も導入していますが、最先端の製品をほぼ手作業で作るという光景はワカ製作所の特色であり、他社ができない技術にもなっています。
細かい仕事が好きで、高校卒業後すぐ麻績工場で働き始めて7年の組み立てを担当している佐藤雅さん。
「自分たちがつくっているものが、奥が深く、世界で使われることはすごい誇りだなと思うし、これだけ世界のものにどんどん発展していってやっている。」
地元の女性たちが長野でつくった製品が、世界最先端を支えています。
市場拡大が期待される高周波同軸コネクター
一貫生産だからこその技術力で新しい分野へ
製品の特性上、多品種少ロット。人の手だからこそ、ニーズに合わせ臨機応変な生産も可能です。
多品種を支える上で重要なのは、自社内で一貫生産できること。麻績工場とならぶ、もう一つの生産拠点、安曇野市の松本工場では、コネクターの樹脂パーツや金属パーツを製造しています。
一貫生産の技術力を活かした、新たな挑戦が、信州大学の歩行アシストロボット「curarac(くらら)」。
プロジェクトに地元企業として参加し、ロボットシステム全体の電源となるバッテリーユニットを開発しました。
さらに、ソーラーパネルの普及に伴い、ニーズが見込まれる超小型ソーラー充電モジュールの商品化にも取り組んでいます。
開発課の等々力修司さんに伺いました。
「例えば道路工事用の信号機ですとか街路灯ですとか、獣害対策用の電気柵ですとかですねそういったところに使われることを想定して作っています。コンパクトで低コストな製品を開発しております。」
日本のものづくりの心を世界に伝える
「これからニーズが高まるIoTや、次世代通信システム5Gネットワーク、さらにクルマの自動運転、こういったところに貢献できるものづくりをしたい。また、宇宙開発にも貢献したいと思っています。」代表取締役社長の若林佳之助さんは、これからも高周波数帯の市場は拡大していくと自信をみせます。
ワカ製作所は、「日本のものづくりの心を世界に伝える」という理念のもと、グローバル展開も視野に入れ、次の時代を支える事業と市場の開拓をすすめます。
【取材日:2018年01月17日】