[コラム]ものづくりの視点

vol.20自社製品を持ちたい・・・
財団法人長野県テクノ財団 専務理事
山岸 國耿

部品型企業から製品型企業への転換を支援(その1)

企業には、大きく分類すると、「部品型企業」と「製品型企業」があります。
まず「部品型企業」ですが、これは、"もの"づくりの工程である「企画、開発、生産、販売」のうちの「生産」工程を主に分担し、特定の親企業から受注した部品を生産するいわゆる下請け型の企業です。県内には、自動車や電機などの県内製造業の主力となる分野に数多くの部品型企業があり、その中には、高い生産性を有し、品質の良いものを生産している企業が多数あります。

一方、県内には少数ですが、「製品型企業」があります。これは先ほどの「企画、開発、生産、販売」工程が全部一貫して社内にある企業のことを指しています。これらの企業は、製品開発のための技術者や販売店に営業マンを配置したりして、不特定なお客を受注先としています。
企画や開発などのことを「源流工程」といいますが、「利益の源泉は源流工程にあり」といわれるように、この工程を持つ製品型企業は、部品型企業に比較し、利幅の大きい場合が多いのです。

たとえば、東信地区のある企業の場合、長年電気メーカの下請けをしていましたが、近年 懸案だった介護用品の開発を始めました。そこで当財団では、この企業に大学の先生を紹介したり、共同して研究会を立ち上げるなど支援しています。
又北信のある企業では、社長さんがお一人で数十年前から家庭用品を開発していましたが売れるものができず長い間苦労されていました。当財団でも折に触れ相談に乗っていたところ、最近ようやく売れる新製品が開発できて、従業員も数人雇うまでになり社長さんのご努力が実りました。

当財団では、部品型企業に対しては、生産性向上のための研修会等を開催したり、部品の性能向上のための技術開発などを支援しています。
その一方で、製品型企業の技術開発も積極的に応援しています。大学の先生を紹介したり、共同研究の相手を見つけたり、技術開発研究会を組織したりなど技術面から応援しています。
特に・・・今は下請け企業だが、ぜひ自社製品を開発したい・・・と、最近 部品型企業から製品型企業を目指す企業がみられます。
これらは、活力ある新産業を生み出す"源"となる場合が多いので、技術面のみならず、経営や販売面からも全面的に応援しています。

 

 

【掲載日:2008年12月 1日】

山岸 國耿

財団法人長野県テクノ財団 専務理事
昭和19年上田市生まれ。38年間長野県職員として長野県商工部関係機関に勤務。長野県工業試験場長を最後に定年退職。当財団浅間テクノポリス地域センター事務局長を経て、現職に就任。
http://www.tech.or.jp/