vol.74 | 日本企業の競争力の源泉は、生産労働者の技能上位一割層 | 山岸國耿 |
先日、法政大学の小池教授が日本経済新聞紙上で、「日本企業が海外で稼ぎ、大いに健闘している、今後益々国の経済に貢献していく」とし、その海外での日本企業の競争力の源泉は、「マニュアルに無く、設計図に無いような生産現場でのこまごまとした諸問題を解決し、改善提案等をしていく中堅人材を、現地の職場で形成し活用していることだ。この中堅人材とは、現場の製造技術者や生産労働者の技能上位1割層だ・・(ハイテクではない・・??)」と述べておられます。
また同様の事例として、私が県内の会社を訪問した際よく聞いた話に「この会社は、工場の職長や班長でもっている。彼らががんばっているから会社が儲かっているのだ・・・(社長や部長ではない・・???)」とのこと。現場の長である彼らが、親企業や上司から指示される無理難題・・??を克服し、部下を上手に掌握して業績を上げる原動力となっているとのことでした。
更に以前、太平洋戦争等に従軍した人から「日本の軍隊が戦闘の現場で強いとされたのは、下士官層が強かったからだ・・(将校ではない・・??)」、との話もお聞きいたしました。
これらのいずれの話も共通していて、組織を構成する第一線監督者層等の優秀さとその活用の重要性を物語っており、大変興味深く得心いたしました。
ご承知のとおり日本は、少子高齢化社会を迎え、15歳から64歳までの生産年齢人口が益々減少する社会構造となっています。国内での消費が頭打ち傾向となり、企業の成長を海外に求めざるを得ない状況も増してきており、日本経済の国際化は、今後いやおう無く益々進むものと思います。
小池教授は、「どのような人材が今後の日本の雇用を支え、"成長の源"になるのか、結論から言えば、それは海外に進出した日本企業で活動する人たちである。」とのこと。特に上記のような従業員層がその多くを担っている・・・とのお話に大変共感いたしました。
今後の日本経済を考える上での解の一つが、明確になってきたとの思いがいたしました。
昭和19年上田市生まれ。38年間長野県職員として長野県商工部関係機関に勤務。長野県工業試験場長を最後に定年退職。その後財団法人長野県テクノ財団に勤務、専務理事を平成22年3月末に退任、平成22年7月に国の地域活性化伝道師に就任