[コラム]ものづくりの視点

vol.47盛んな産産交流
財団法人長野県テクノ財団 専務理事
山岸 國耿

隠れた成果を生む

 長野県テクノ財団では、現在来年度の事業計画を立てています。その検討の中で、本年度当財団に入った職員から「今年【次世代人材養成塾】を担当し、年間5回開催した。年度最後の会合の時、会員から来年度もぜひ続けてほしいとの要望があった。特に会員同士で"仕事の取引が始まったり、共同研究に向け技術者の往来等が始まった"などの報告があった。この会は、講師の御指導のもと会員企業を訪問して勉強等してきたが、その成果に加え、予想しなかった会員同士のこのような水面下での実質的な交流が始まり驚いた。」との報告がありました。

 この塾では、次世代の経営幹部を育成することを狙いに、会員数10数名で組織され、年間5回程会員企業を順番に訪問して、企業経営経験者である講師からのアドバイスに基づき、訪問企業の経営課題の解決方法等について勉強しています。

 当財団は、このような会員制の研究会や塾を80個ほど開催しています。そのほとんどが、大学の先生方にご指導を頂く産学官交流のスタイルです。
 中には、今回のように、大学の先生によらずに企業の方々を中心とする研究会や塾も開催しています。当然講師や見学先等からのいろいろな勉強や会員の情報交流等が中心となりますが、今回の塾のように、参加した会員同士が回数を重ねるごとに親しくなり、新鮮な人間関係が築かれ自然発生的にお互いに自分の企業を紹介したりして、会員同士の商売や共同研究にまで具体的に進む場合が大変多いのです。
 ただこのような事例は、企業秘密に関することが多いため表に出ないのですが、件数ではかなりの数となっています。

 これらのような企業と企業の交流スタイルを、"産産交流"と呼んでいます。"産学官交流"も成果が上がりますが、このような産産交流にも隠れた成果が数多く上がるため、参加者も多く、人気の事業の一つとなっています。
 産学官交流よりも産産交流のほうが成果が上がる・・?? との声も
 当財団としましても今後に向け、このような研究会等を数多く実施していきたいと考えています。

【掲載日:2010年3月26日】

山岸 國耿

財団法人長野県テクノ財団 専務理事
昭和19年上田市生まれ。38年間長野県職員として長野県商工部関係機関に勤務。長野県工業試験場長を最後に定年退職。当財団浅間テクノポリス地域センター事務局長を経て、現職に就任。 http://www.tech.or.jp/