[コラム]ものづくりの視点

vol.18「技術」って何ですか? 当たり前のことですが
財団法人長野県テクノ財団 専務理事
山岸 國耿

“技術”は“人”に宿っている、人に体化している。

長野県テクノ財団では、企業の技術力や研究開発力の向上を最大の狙いとして、技術者を対象としたハイテク技術研修会や各種の開発型の研究会を開催するなどいろいろな事業を実施しています。

その中で、「あの会社には技術力がある・・・」と言われることがよくありますが、"技術"って何?、どこにあるの? 皆さんはどう思いますか。
"技術"は具体的に目で見ることができません。

先日、「"技術"とは何か・・・」、大学の先生方と話をする機会がありました。
企業にとって、"技術"は"設備"だ・・・、という人もいます。高性能な生産設備を導入し高い精度の加工をする企業のことを、「あの会社には技術がある」といわれることもあります。又、ある人は「大企業などで、大きな先端技術の開発研究所のある企業のことを技術がある」ともいいます。
その話の中で、多くの意見が、「"技術"は"人"」でした。言われてみれば、まったくその通りで 当たり前のことです。
私も、"人"だろうと、思っています。 "技術"は"人"に宿っている、人に体化している・・・と思うからです。

したがって、企業の「技術力の向上」とは、技術者の能力を高めること、すなわち「人材の育成」ではないでしょうか、
そこで、当財団では、技術者を対象としたハイテク技術の研修会は無論のこと、見学会や、交流会、開発型の研究会など ――手を替え、品を替えて(失礼)―- 技術者の集まる いろいろな事業を開催し、「人材の育成」 すなわち「技術力の向上」を目指しています。

 

 

【掲載日:2008年11月25日】

山岸 國耿

財団法人長野県テクノ財団 専務理事
昭和19年上田市生まれ。38年間長野県職員として長野県商工部関係機関に勤務。長野県工業試験場長を最後に定年退職。当財団浅間テクノポリス地域センター事務局長を経て、現職に就任。
http://www.tech.or.jp/

vol.174年に一度の航空宇宙展
LLCプロセスフォーカス代表
森本 五百樹

技術は人間の夢を実現する推進力

 航空機や宇宙開発のことなら何でもわかる2008年国際航空宇宙展が、パシフィコ横浜で開催された。このショーは、4年に一度なので、次の開催は、2012年になってしまう。もし、見逃した方がいらっしゃたら、JA2008のHPでその様子を見てください。

http://www.japanaerospace.jp/

 とにかく、航空機と宇宙開発に関しての最新情報を知りたかったら、本を読むより、このショーに出かけたほうが、早いのです。「最新の航空機技術」「航空機産業」「防衛航空機とミサイル、システム」「宇宙開発と地球の観測」さらには「宇宙ファッションショー」まで、こんな盛りだくさんのディスプレイやイベントが見られるショーはあまり類を見ないでしょう。

 昨今は、宇宙開発をとっても、日本は中国やインドなどに押されている印象を受けますが、その中身をこのような展示会でみるとやはり日本の技術の裾野の広さを感じ取ります。

月周回衛星「かぐや」の活躍ぶり、「まんてんプロジェクト」の内容、「国産ジェット旅客機MRJ」の進捗、そして「B787」の開発に対する日本の寄与など、最先端技術の一端を見て取ることができました。

こうしてみると、つくづく「技術は、人間の夢を実現する推進力」であることを感じます。より自由な空間に飛び出てみたいという素朴な夢への挑戦が、一歩一歩階段を登って、ここまで来た。それを今目の前で見ている。そしてこの夢は、着実に実現されている。青い星、地球をさらに輝かしいものにして、また地球外空間にも活躍の場を広げる。そんな夢のために、若い力がもっと技術の世界に飛び込むよう、魅力的な展示会をどんどん作っていってほしい。見ることに勝るテキストはありません。

 

 

【掲載日:2008年11月19日】

森本 五百樹

LLCプロセスフォーカス代表
長野市出身 1946年生まれ ㈱東芝、GE東芝タービンコンポーネンツ、北芝電機勤務を経て 2007年 LLCプロセスフォーカス設立し、プロセスアナリシスとビジネスアナリシスをツールに経営改善をコンサルテイング並びにIT支援を行なっている。

vol.16楽しかった諏訪圏工業メッセ
LLCプロセスフォーカス代表
森本 五百樹

この秋の工業フェアの中でも特筆

 芸術の秋とも、食欲の秋とも言いますが、実は、工業フェアの秋でもあるのです。この時期、自動車や工作機械などたくさんの展示会、ショーが開催されます。そんな中、長野県でもユニークな展示会が開催されました。「諏訪圏工業メッセ2008」です。

 10月16日から3日間にわたって行われたメッセに、約280の企業や公共機関などが出展し、27000人の来場者があったそうです。

 ある企業の工場跡地建物を利用した会場には、連日大勢のお客様が押し掛けました。これだけの広さをもつ地方展示会は、おそらく他には見たことがありません。その上、諏訪地区の精密機械産業の特色を生かしたディスプレイの数々、また伝統技能の実演や技能五輪の再現など見て回る人を楽しませるイベントが盛りだくさんでした。さらに、興味深かったのは、お客さんの層が実に多彩であったこと。家族連れや女性だけの団体などこれも他にはあまりないことでした。このメッセが地元に根付いていることをとても印象づける光景でした。

 来場者で、最も素晴らしいことだなと感じたことは、学生の多かったことです。中学生、高校生、大学生まで、多くの学生が、メモを取りながら熱心に見て回っていました。「長野県のモノ作り」はさらに発展する潜在力を持っているとつくづく感じた次第です。

 こんな素晴らしい、そして楽しい工業メッセに少しでも多くの人が、また来年ものぞきに来てほしい、開催する側ももっともっと楽しいフェアになるよう、イベントや会場の雰囲気作りに力を注いでほしいものだと思います。

【掲載日:2008年11月17日】

森本 五百樹

LLCプロセスフォーカス代表
長野市出身 1946年生まれ ㈱東芝、GE東芝タービンコンポーネンツ、北芝電機勤務を経て 2007年 LLCプロセスフォーカス設立し、プロセスアナリシスとビジネスアナリシスをツールに経営改善をコンサルテイング並びにIT支援を行なっている。